伊藤英人の狩猟本の世界

277.『ハクビシン・アライグマ おもしろ生態とかしこい防ぎ方』古谷益朗著、農文協、2009年

277.『ハクビシン・アライグマ おもしろ生態とかしこい防ぎ方』古谷益朗著、農文協、2009年

獣害対策。食害の痕による見分けかた、畑にアクセスするときの2種の癖の違いなど、対策やわなづくりに参考になる情報ばかりである。アライグマは「隙間が好き」「穴を見ると首を突っ込む」となると、わなのデザインが変わってくる。従来のハコわなは軽量化重視のためか、スケスケのスカスカが主流である。

著者はハクビシンを自宅で飼って研究した。メスの生理の悪臭がかなりきつかったようだ。これによって解明された情報「ハクビシンに発情期はない」は大きな発見だと思う。野生下で、においが被食に影響しないのだろうか。

エサとなるものを除去する、地域ぐるみで対策するなど、基本的な獣害対策の理念は対象種に関係なく共通である。さらに、今もさまざまな研究機関で対策が練られている。刊行当時より進歩していることを期待したい。