伊藤英人の狩猟本の世界

261.『ジビエの歴史』ポーラ・ヤング・リー著、堤理華訳、原書房、2018年

261.『ジビエの歴史』ポーラ・ヤング・リー著、堤理華訳、原書房、2018年

時の政権や宗教の影響を受けながら、あらゆる鳥・獣を食べつくしてきた西洋の文化は、複数種の絶滅の原因となった一面はあるものの、とても豊かである。ジビエを取り巻く背景は日本とまったく異なる。

北アメリカ先住民が、雪の中でヘラジカを追いつづけ、疲れ切ったところを捕まえた。この肉(フケ肉か)を食べた探検家は酷評している。それならば、ナマケモノの肉はやわらかくておいしいに決まっているのだろうか? この意地悪な疑問、結果はイマイチと本書にあるが、食べてみないことにはわからない。

ちなみに、テレビでどこかの先住民がナマケモノを狩ろうとしているのを見たが、見事に逃げられてしまった。名前にだまされてはいけない。

巻末のレシピ集はクレイジーで、ゾウ料理で笑ってしまった。まず「地面に穴を掘る」。そこから蒸し焼きになるが、最後に「約50人分」とあった。