伊藤英人の狩猟本の世界

98.『野生鳥獣と人間生活』池田真次郎著、インパルス、1971年

98.『野生鳥獣と人間生活』池田真次郎著、インパルス、1971年

ワイルドライフマネジメントの概念の普及を試みた貴重な本。著者はwildlife managementを「鳥獣の保護管理」と訳した。保護管理は人間生活を基盤として論じなければならない、ということで、このようなタイトルになった。保護、駆除調整、狩猟の3つに分け、さらにこれらを緊密に連帯して政策を実施すべきと訴える。本書もこの3つの章で構成され、狩猟編では、諸外国の狩猟行政の歴史について、各国の性格の違いがわかるほどにレビューされている。著者は日本の狩猟が国民全般に普及するものではないとし、猟区制にして狩猟者からお金をとる方式が望ましいと主張する。
編集上の初歩的なミスが多い。長音符がすべて逆さまという活版印刷会社の大失態が見逃されている。ワナの図の向きが違う。