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緑と水の森林ファンド助成シンポジウム 「森を創るために人を育む-野生動物管理の担い手像-」

2015年2月14日(土)に、健全な森林の育成及び維持のために必要となる、野生動物管理の担い手育成をテーマとしたシンポジウムを札幌で開催した。

はじめに、酪農学園大学の赤坂猛教授から、これまで北海道では、人材育成の必要性は認識されていたものの、十分な取り組みが為されてこなかった実情について報告された。

 

次に、イングランド森林委員会で野生動物管理の統括責任者をしているノーマン・ヒーリー氏から、「イギリスのシカ管理と捕獲認証制度」という題で、国有林がシカ管理と人材育成システムの仕組みを如何に発展させてきたかについて講演いただいた。

 

また下記3題の話題提供があった。

(地独)北海道立総合研究機構の宇野裕之博士から、「エゾシカ管理の現状と課題」という題で、シカの個体数管理目標を達成するためには、人材育成と捕獲の実行体制の整備が不可欠であるとの報告がされた。

 

岐阜大学鈴木正嗣教授は、「森林保全のためのシカ管理に必要な人材と体制とは」という題で、個体数調整に携わる「カラー」と「個人的な動機や趣味の一環として捕獲に従事する者(=ハンター)」との適切な協力と分業のあり方について明確にした(悪天候による到着遅れが発生したため発表は松浦が実施)。

(独)森林総合研究所松浦友紀子研究員から、「日本へのシカ捕獲認証の導入」という題で、1)地域のシカ管理における効果的かつ安全で人道的な捕獲,2)優れた食材であるシカ肉の持続的資源利用のための食肉衛生,3)地域主体管理を実現する体制づくりのための普及啓発,を行う人材の育成を目的としたシカ捕獲認証の取り組みについて報告した。

 

 

最後に鈴木教授を交え、酪農学園大学の伊吾田宏正准教授をコーディネータとし、参加者からの質疑応答を中心とした総合討論を行った。

当日は北海道外含む遠方の方々からも、事前に申し込みをいただいていたが、悪天候による交通機関の乱れにより、ご参加いただけない事例も発生した。それにもかかわらず、153名の方々にご参加いただき、関心の高さが伺えた。森林管理局、北海道、各振興局、市町村、猟友会、学生、民間企業等、森林管理と野生動物管理に関わる幅広い分野からご参加いただいた。本シンポジウムの開催により、先進地であるイギリスとの担い手育成に係る連携が強化され、また担い手育成の必要性、担い手に求められる資質、担い手の活用体制、シカ捕獲認証の導入について広い分野間での情報共有を進めることができた。