伊藤英人の狩猟本の世界

257.『死んだらどうなるのか?』伊佐敷隆弘著、亜紀書房、2019年

257.『死んだらどうなるのか?』伊佐敷隆弘著、亜紀書房、2019年

人間は、死んだ後どうなると考えているのか。哲学専攻の著者によると、答えは6通り。

では、狩猟によって死亡した野生動物はどうなるのか。たぶん彼らは無神論者であり、罪の概念もなさそうだから、地獄に落ちたり(畜生道?)、天国へ行くことはないだろう。「生まれ変わる」とするのは、人にとって都合が悪い(あのシカは、死んだじいさんだったかもしれない)。となると、「自然に還る」か、「完全に消滅する」としたほうがしっくりくる。

いや、人と直接的なかかわりをもった動物である以上、「人の心の中に生きつづける」ということも起こりうる。狩猟肉を食べることで野生動物が自然に還り、さらに心の中で生きつづける、というパターンがいかにも美しい気がする。それも結局は人間の都合なのであり、いいように考えたいという力が働いている。