伊藤英人の狩猟本の世界

241.『標本の本』村松美賀子・伊藤存著、青幻舎、2019年

241.『標本の本』村松美賀子・伊藤存著、青幻舎、2019年

京都大学総合博物館の収蔵物を、デザイナーが非学術的目線でオシャレに紹介した本。学術的に価値があるコレクションももちろんあるだろうが、「芸術的な魚のふんの跡」のように、美学重視でピックアップされている。そういった価値もまた存在する。

分類学者はキッチリしてそうなイメージがあるが、長期間未分類のままの魚、未同定の植物標本の山、頭骨だけ持ち去られて未返却の「首から下骨格標本」などがどうしても発生してしまうようで、それぞれが異様な存在感を発揮している。これらの解消に予算がつくことはあるのだろうか。

後半では、アカネズミの捕獲からフラットスキン標本作製までを同行取材している。加工工程の表現にグロさは皆無で、きれいなモノクロのイラストにされてしまった。

狩猟者が捕獲したなかにも貴重な動物があるかもしれない。むしろ獲物は学術研究用サンプルとしてどんどん活用していってほしい。提供する側としては、研究者への配慮として、捕獲時の記録を残す以外にも、その後の処理などを知っておきたい。(そのためには別の本を読まなければならない。)