伊藤英人の狩猟本の世界

221.『図説 世界史を変えた50の動物』エリック・シャリーン著、甲斐理恵子訳、原書房、2012年

221.『図説 世界史を変えた50の動物』エリック・シャリーン著、甲斐理恵子訳、原書房、2012年

人間の歴史に影響を与えてきた動物たちの話。訳本で西洋中心。家畜、野生動物、虫、住血吸虫などが学名順に並び、最後にヒトがくる。動物ごとに「食用」「医療用」「商用」「実用」のサインがある。50の動物はそれぞれ性質が異なり、それによって人とのかかわりの形がそれぞれに異なる。逆にいうと、ヒトが多くの動物にさまざまな影響を与えてきたことを示している。感染症のページもあるので、コロナで需要が増加したかもしれない。

真珠養殖は御木本さんではなくケントさんの功績になっている。ヒルが医療用に利用されてきたこと、戦争でロシア軍が犬を特攻に使ったことなど、知らないことも多かった。

狩猟対象の動物も多いが、狩猟に関する記述はそれほど多くない。狩猟は直接に動物とかかわれるし、動物を知る手段となる。今後は、ドードーやバイソンのような過ちではなく、保全やモニタリングなどSDGsに貢献する技術として歴史に狩猟の名を残したい。