伊藤英人の狩猟本の世界

151.『獣害対策最前線』全国林業改良普及協会編、全国林業改良普及協会、2011年

151.『獣害対策最前線』全国林業改良普及協会編、全国林業改良普及協会、2011年

日本各地で行われている先駆的な獣害対策が紹介されている。北海道は前田一歩園財団による阿寒のエゾシカ対策、西興部村の猟区管理の事例が報告されている。

限られた予算のなかで、対象獣とその生息環境、さらには住民の意向にそったローカルな対策が必要とされており、一筋縄でいくはずがなく、ハイレベルな専門的管理責任者と実行に移せる技術者が各地域に必要と思われる。そんな重大な任務が、地元の古いしがらみを引きずった事務職の公務員に任されている現状がある。本書にあるような事例の広がりやその持続的・順応的管理を期待したい。

狩猟者の教育制度が広がりつつあり、学ぶ環境は整ってきたように感じた。狩猟者の位置づけも変化しており、対応していかなければならない。狩猟の正しい理解と普及のためにも、この書評コーナーの重要性が増してきているのではないでしょうか!