伊藤英人の狩猟本の世界

148.『毛の生物学』M.L.ライダー著、加藤淑裕・木村資亜利訳、朝倉書店、1980年


148.『毛の生物学』M.L.ライダー著、朝倉書店、1980年

訳本。毛の組織学的な総合解説。100ページに満たない小さい本だが本格的。毛だけをテーマに1冊に書かれた本は希少。

毛についてほとんど知識がなかったことを思い知らされる。毛は何とも合理的な構造をしている。「おそらく哺乳類の皮膚の最も重要な機能は、環境との熱の均衡を保つことである。それだから毛皮は哺乳類に、他のどの動物のグループよりも大きな生態的活動範囲を与え、哺乳類が動物界で優勢を占めることに大きく寄与してきた」。哺乳類は「体毛類」呼んでもよかったのではないだろうか。

これまで不思議に思っていた毛皮のなめらかさの違いについては、毛の表面の構造である鱗屑(鱗片)で説明できる。