伊藤英人の狩猟本の世界

25.『動物ども』椋鳩十著、三光社、1943年(復刻版はほるぷ出版、1974年ほか)

動物を題材にした児童文学の短編集。タイトルの「ども」は単なる複数形で、決して見下しておらず、むしろ愛着を感じている。「かわいい」「かわいそう」といった表面的な動物愛護でも、安易な擬人化でもない、ホンモノの野生動物が生き生きと描かれる。「大造爺さんと雁」も収録。老練の狩猟技術をもって試行錯誤する大造翁、それを紙一重で上回る雁の生命力。このフェアな闘いこそ、狩猟本来の姿である。

『動物ども』椋鳩十著