一般社団法人エゾシカ協会

竹之内一昭「鹿皮について」


1. 副次生産物としての皮の利用
放置:腐敗、環境汚染、他の生物への影響。
廃棄処分:設備、費用。
加工:革製品としての多様な利用。

2. 鹿皮の特性
厚さが薄い(馬や牛と比較して)。
毛包が大きく、空隙がある。
線維が細かいが強度がある。

3. 革の製造
裏打ち→脱毛→銀面除去→鞣し→染色・加脂→仕上げ
革:柔軟性、強靱性、吸水性、耐久性、風合い、染色性に優れている。
  セーム:柔らかい(ドイツ語、オランダ語)。
  シャモア:カモシカ(フランス語)。
  バック:牛を除く鹿や羊、山羊等の有角獣および兔の雄(英語)。
革製品:袋物、手袋、衣類、裏地、レンズや自動車の汚れ落とし、武具。

4. 日本における鹿革の歴史
   大和朝廷時代:「弓弭の調」鹿、カモシカ、猪、熊の皮。
          百済、高麗(朝鮮)からの革工の渡来。
   奈良時代  :鞆、胡禄、太刀の紐や帯類。履の内張り。馬具。
   平安時代 :甲冑、蹴鞠、行膝。
「延喜式」における鹿革製法「鹿皮。除毛曝涼、除膚宍浸釈、削暴和脳槎乾、染皀、焼柔熏烟、染造。」
   江戸時代 :革羽織、袋物。
        甲州印伝革(銀落し、脳漿鞣、摺り、燻し、染色、漆置)。
  アイヌの鹿皮の衣類。

竹之内 一昭 氏(北海道大学大学院農学研究科 助教授)